空と海と山と川と。のびやかに淡々と美しいものが溢れる世界。その片隅の、つぶやき。
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ひばりの声が、する。
空高く響く声を聞くと、思い出すのは「家」

その家は木造で、中二階には私のための書庫があった。
一階には縁側があり、二階の廊下の窓からは屋根に下りれた。
私の部屋からは、土手が見えた、その上に広がる空も。

階段の暗がり。
長いこと使って擦り切れた、大事にされてきた絨毯の敷かれた居間。その模様。
中二階には、もう一つ小さな部屋があって、これは妹のためのピアノが置いてあった。
そこで、本を読むのが好きだった。

春。
温かそうな空と土手が窓の外に広がる。
温かなのは外で、家の中は寒い。
ピアノの椅子に腰掛け、着膨れた私は、すぐ後ろの壁に背中を押し付けて本を読む。
ひばりの声が聞こえる、ずっと。

灰色の雨の日も、ひばりの声は聞こえていた。
春の雨はしっとりと明るくて、私は好きだった。
本を読みながら、ひばりはどこに住んでいるんだろうと、ぼんやり思っていた。

思い出す、その春の家を。
薄暗くて、窓の外がとても明るくて、ひばりの声がして。
今はもう、私の家ではない、私の家。

土手の上から、その家を見る。
他の人の家。
きっと、においもなにもかもあの時ともう違う。

ここではひばりがなく、街中でも。
空を見上げても、その姿は見えない。

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【2007/03/21 23:06】 | つぶやき
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